Naoto Kimura

2017.3.23

そういえば”カット中に先生に頭ひっぱたかれた事”を思い出した

先日、こちらの本について記事にしたら…

著者の「佐藤友美」さんが閲覧してくださったらしく、献本くださいました。

ありがとうございます。ただ、私は献本いただいても買う主義です。

また後日買わせていただきます。

読ませていただきました。

普通に一気読み。

当たり前ですが、同じ職業の為、内容はスラスラと。

あっ。

注釈。

僕が美容師になりたての頃から第一線級で活躍なさっていた女性美容師「鈴木三枝子さん」のお話。

8年前にスキルス性胃がんで他界。

大きな衝撃を受けたものです。

(自分の記事より)

僕が美容学生の頃はかの有名な「シザーズリーグ」や木村拓哉さん主演の「ビューティフルライフ」で美容師の過熱感が半端なかった時代でした。

ただ、僕は全くそういったのとは違う理由で美容師になったわけなんですが…

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学生時代には業界誌を読み漁り、珍しいのかもしれないけど、クレジットをチェックし、その当時から輝き続けておられる美容師の諸先輩方の名前は大体把握していた。

今ではちょっとわからないかもしれないが、その当時、ちょっと異質でサイバーなテイストを出し、異彩を放っていたサロンがあった。

切り込まれたジオメトリックなデザインに、ヘアショーなどのステージではド派手なパフォーマンス。

テイストが好きか好きじゃないかは抜きにして、やはり目に留まり、強く脳内にインパクトを残す事となる。

その当時を知る者からすると、あまりにも衝撃的な事実を知る事となる。

その中の中心人物の1人だった方の他界。

信じられなかった。

エネルギーに満ち溢れた風貌、自信、オーラ。

そして、お会いした事はないが人づてに伝わる魅力。

そのまま伝説となって、僕らみたいな後に歩を刻んでゆく者達の記憶にだけ残っていった。

そんな方の歩みが本になるらしい。

こういうお方。

書内にはかつての鈴木さんのお写真も。

これは昔から記憶にある写真なのでご本人も気に入っておられたのでしょう。

とても良い写真だと思います。

トップから切り込まれたウルフベースのヘアスタイルにインナーカラー。

高いヒールにトッポイファッション。

トレードマークでしたよね。

今でも鮮烈に覚えています。

女性美容師の振る舞い方

いくつか書内で印象深かったエピソードをご紹介。

「女性美容師はカット椅子を使うな!そしてヒールを履け」

こういう理論には驚きましたが、言われてみれば納得。

女性の姿勢や振る舞い、そして立ち方など、スタイリッシュに。

ヒールをサロンワーク中に履いていると疲れるという理屈はわかりますが、それに抗ってでも見た目のスマートさを意識する事。

なるほどなぁ。と…

なぜ結婚したか?という所

夫である高橋マサトモさんが鈴木さんとなぜ結婚したのか?という問い。

「どこがいい?というよりもとにかく優秀だった」

これ僕もめちゃくちゃ同感でした。

僕もそういった感性で結婚した様に思います。

えっ?て思われるかもしれませんが、そういった才能に惚れると言いますか…

ビジュアル的観点よりも素直に相手の才能を愛するみたいな…

そんな部分がとてもリンクして…

カットしてたらつかつかやってきて頭をひっぱたかれる

自身の顧客を担当していても自分の教え子のカットに微妙さを感じてしまったら妥協しない。

これは僕自身も経験あるのです。

自分が新米スタイリストの頃、お客さんをカットしてたら先生が後ろからやってきて、後頭部をひっぱたかれました。

「どういう切り方してるんだ!お前は!」

相当動揺しましたよね笑

んでも許せなかったんだと思います。

技術ってルーツですから。

違う事をやることに我慢がならなかったんでしょうね。

今じゃ信じられないかもですが、割と普通にあった時代でした。

でも、そういうのがあったからこそ今の自分があるという事も。

何が正しいかはわかりませんが、そういった事を知っておくだけでもいいのかもしれません。

時代錯誤な事をあえて知る事。

著者の佐藤さんもおっしゃっていますが、「この本は現代感はない」です。

なくてよいのだと思います。

僕らが読んでも感動するし、また若い人がかつての知らなかった美容師界というものを感じる事が出来るはずです。

と、いうよりはこの本は…

「今を生きる人」が読むべきと思っています。

ゆとり世代や、悟り世代など呼ばれ方は形を変えてゆきますが、そこに優劣など存在はしない。

ただ、昔から流れる魂みたいなものは時代を越えても必ずあるはず。

そしてそういったものは現代において直接教わってもなかなか自分の中に取り込めない。

1人の女性美容師の生涯を通じて、今、もしや理解に苦しむ先輩などに対しての感覚も変わってくるかもしれない。

そして、また美容師としての在り方を自分自身に問う事ができるかもしれない。

そんな風に思います。

僕も道を継いでいきたい

読み終えて一呼吸。

フゥー。

っとなった時に降ってくるそういったフレーズ。

僕自身歩んで来たものをこれからの人には継いでいけるのでしょうか?

いや、まだまだかな。。。

とりあえず気持ちだけはもった上で…

そっと自分のアシスタントにまず本を継ぎました。

こうやってまた1つ1つ継がれてゆくのでしょうね。

是非、自分も死ぬほど憧れた鈴木三枝子さんの生涯に触れていただきたいものです。

Category : コラム