Naoto Kimura

2016.1.13

【ヘアメイク】をやりたい貴方に。当時のエピソードも含めて。

【本誌反響】AneCan2月号を読んでの反応まとめ

http://anecan.tv/news/sp/anecan/post-443.html

「Anecan2月号を読んで」の反応まとめにまとめてもらえました。

是非ご一読を。

僕がタグ付けてコメントしていたのをみて…

自分のヘアメイク人生のスタートラインから見ていてくださっている編集部の方がコメントを。

むしろ自分の方がです。本当に。

正に自分のヘアメイク人生のスタートラインだった”cancam””Anecan”

「ヘアメイクをやりたいんです!」と言って、美容師の世界に入ってくる人も多い。

僕は最初はそういう感じではなく、正に「THE 美容師」としてこの世界に入ってきたわけなんですが、そういった部分とは突然出会う事となる。

【木村直人 連載vol.11】yoッ!俺だってこんなんだったんだからお前ら絶対大丈夫!

http://mtrl.tokyo/column/11336

この連載でも語られている部分はあるのだが、1軒目のサロンを「クビ」になった僕は2軒目のサロンで突然出会うそういった仕事。

2軒目のサロンではそういった仕事もポピュラーで色んなジャンルの「ヘアメイク」という仕事も溢れていた。

「僕もやってみたい…」

そう思った単純な動機は…

かっこつけるつもりも毛頭なく…

「ミーハー心、チャンスを掴みたい、上手くなりたい、有名になりたい…」

など、決して褒められた動機ではなく恐らくだがみんなそんなもんだと勝手に思っている。

自分の歩み

まずはそういった仕事をやっていた先輩に相談する。

この作業は簡単なようで難しく、常に「ウエルカム」な部分ではあるが、言うは易しで1度口に出して紹介までしてもらったらやり切らなくてはならない。

勝手にそう思っていた。

だが、言ってみた。

「僕もそういう仕事をやりたいんです。」

そうしたら…

「おっ。全然きなよ。」

と現場に連れてってもらい(当然休みの日や早朝です)、そういった世界を見せてもらえた。

まだ、その時には何もわかるはずもなく、ただそこにあるのは「夢」だけだった。

そりゃあ当然そうだろう。

TVに出ている人もいれば、雑誌に載っている人。

当時の自分からしたら雲の上の人達ばかりで、そういう人達をヘアメイクする事になるなんて全く想像つきもしなかった。

そのサロンでは「メイクの勉強会」もあり、メイクをするという事がスタンダードだったが、いまいち乗り切れず、いわゆる食わず嫌い状態だった僕もそういった場所を見て「よしやろう」と思った時の切り替えは早く、ヘアメイク道具など皆無な僕は即座にヘアメイク道具一式を購入した。

その当時では考えられない金額。

「数十万円を一気に購入した」

ただ…

そのほとんどが間違いだった…

先輩に聞きながら購入したものの、自分で冷静に考えることはせず無作為に買った。

実際現場にたった頃には全く役にたたないものも多かった。

道具はとても大事だ。慎重にかつ、その世界に本当に詳しい人にアドバイスをもらうべきだろう。

だが、その時に一気に購入してよかった部分もある。

「これは死ぬ気でやらねば全てが無駄になる…」

そう常に崖っぷち。

貧乏まったなし。

そんな状態だったが、段々続けていくことで…

「楽しくなってくる」

そう、あんなに逃げていたジャンルでも楽しくなってくるのだ。

それは上手くなっている実感、表現でき始めているという実感が出てきたに他ならない。

僕がそういったのを「苦手」といってくる後輩にアドバイスするのは…

「あー。そりゃ自分で”下手”と認めてるからだよー。やりまくって”上手くなりだす”とどんどんのめり込んでくるから」

そういった発言が出るのはそういう経験があったからだ。

どんどん興味が湧いた。

もっと上手くなりたい。と…

多分、なんでもなんですが初期段階が1番大事なんだと思う。

最初の一歩を踏んだ。

そのちょっと後。

それを乗り越えたら爆裂右肩上がりにテンションは上がる。これが大事なフェーズなんだろうなぁと今となっては思う。

突然やってくるチャンス

本当に人生何があるかわからないもので、チャンスは突然やってくる。

「キム、この仕事やってみる?」

と、最初に相談した先輩が持ちかけてくれた。

その仕事は…

「読者モデルのスナップヘアメイク」

だ。

大体の人がここを通っていく。

そう、その媒体こそが…


(表紙を担当したcancam)

cancamだ。

見たことない人はいないだろうが、雑誌の中のページや、後半のコスメ紹介、路上でのファッションスナップなど…

雑誌の中でも重要なポイントを占めている。

そういった仕事。

これがファーストステージ。

行われるのは大体土日

大体、土日に行われるスナップ。

考えると容易いのだが、モデルさんも学業や仕事をしている人なわけでその休みの日を使う。

僕ら美容師にとって土日はサロンもめちゃ忙しく、従って先輩になるとそういう所でスケジュールを取ることが難しい場合もある。

そういった所でチャンスが突然訪れる。

「やってみるか?」と…

「はい!是非!ありがとうございます!」

嬉々として引き受ける。

忙しい土日に何故か?

そう…

暇でしかなかったから

だ…

若手スタイリストの時に多くの顧客を抱えているわけでもなく、時間しかなかった。

断る理由などなく、スタートを踏ませてもらえる事となる。

いいんだか悪いんだか…トホホ。

毎回10〜20人程、メイクする事による強制トレーニング

強制トレーニングというと誤解があるかもだが、大してキャリアのない自分にはもってこいのトレーニング法ともなる。

どんどん来場する読者モデルさん。

その全員をヘアメイクし、送り出すのだ。

そこにはクオリティだけでなく、スピードも要求されれば、カメラ前での見せ方、服の見せ方(髪で服を邪魔してはいけないなど。ファッション誌だから当然ですね)、色んな事が要求される。

そして、色んな「雑誌用語」も飛び出す。

・顔丸(バストアップの顔写真のみ)

・カクハン(四角く切り取られる構図)

・切り抜き(人物に合わせて切り抜いて使う)

・ロケ(外での撮影)

・ロケスタ(外からスタジオ入って)

・裁ち落とし(丸々1ページ使う)

・ノド(雑誌の真ん中。ページの見開き、雑誌が閉じられている所周辺)

などなどなどなど様々ある。

その1つ1つがわからないことで一個一個を学んでいく。

そう、その読者モデルスナップこそ養成所みたいなものだった。

上の「全俺が泣いた」と表記してくださっている編集の方はその当時から見てくださっている方だ。

最早自分の人生で忘れる事も出来ないだろう。

そういったスタートラインから、数年間はそういう仕事を続けた。

と、いうかここでもハードルがある。

「また次も呼んでもらえるか?」

という所だ。

やはりその1つ1つで受注側である我々は問われる。

「次もまたお願いしたい」

と言われる人でないともうその道は断たれる。

これが結構プレッシャー(笑)

だからそれなりにやってこれた人達は本当に「姿勢から人格から」必死だったと思う。

これはサロンワークにも通づる大事な要素だと思う。

僕も大変運がよかったが続けて仕事をいただけた。

途中ない時期もあり、焦りもあったが編集やライターの方がサロンに来店する事も多く、また紹介してもらえるチャンスもあった。

そう…


(数年経った後、特集してもらえたりもした)

「ヘアカラーという技術」

僕はヘアカラーが好きだった。

そういった部分でコミニケーションを取ることができてまた次に繋げる事ができた。

そういったスナップの仕事を続け、そして僕は現在のサロンに籍を移した。

いきなり”大きな仕事などない”本当に”コツコツ”とそして突然訪れる

そういった仕事をずっと続けて、ある日突然…

「cancamモデル」さんのページのヘアメイクという仕事の話がいただけた。

僕は驚いた。

そんな雲の上の様な仕事ができるんだろうか?

当然引き受けるものの恐怖でいっぱいだった。

でももちろん嬉しかった。

忘れもしない「食べ物系記事」

食事をしている模様のモデルさんをヘアメイクするというもの。

それが「西山茉希さん」だった。

そう、始めて本格的に「プロ」というモデルさんをヘアメイクしたのは西山茉希さんだった。

まぁ、いうまでもない緊張感だったが、気さくな方なのでリラックスして臨めた。

本当に嬉しかったなぁ。

雑誌社としても「信用」という所で仕事を依頼していると思う。

「いいね。や、これはちょっと…」

様々な議論もなされているだろうし、ヘアメイクに関しても常に検討なさっていると思う。

そういった意味で「cancam編集部」は実績を作るチャンスを作り続けてくれて、育み、そして任せるといったなんとも言えない愛情感に溢れた編集部だと僕は思う。

実際、僕の周りでヘアメイクとして成り立つ人達はここから派生していることが多い。

仕事というとクールに聞こえるが、その実情は愛に溢れている所も多く、いつもそういった「気持ち」を感じていた。

そうして自分は幅を広げて沢山のページをやらせてもらえる機会を与えてもらえる事となる。

始めてから数年は経っていた。

毎日そんな甘くないぞw 睡眠?休み?ははは。

モデルさんのページを担当させてもらえる様になると、あれだけのページ数だ。

時間もとてもかかるし、その1つ1つが本気だ。

毎日朝「4時起き」が当たり前(笑)

正月以外はずっと仕事してましたよ(正月は雑誌も休み)

僕が現在でも正月しかまともに長期休暇とらないのは最早「習慣」というやつでしょうか。

怖いんですよ(笑)

「無くなってしまう」事が…

そうやってずっとやってきて、自分で時間を作り、受けられる状態にしておかないと怖い。

そういったプレッシャーも大事だと思う。

仕事なんていつなくなってもおかしくないのだから…

毎日朝4時に起きてヘアメイクにいき、終わればサロンに帰りお客様の髪をやり、ミーティングもすれば店作りもする。

そんな生活を何年も続けた。

「いやー。辛かったー(笑) でもそれ以上に楽しかった」

自分がヘアメイクしたものが雑誌に載り、世にでる。

これ以上の喜びってあるのでしょうか。

失うのが怖い。

それ以上に楽しい。という両面の気持ち。

自分の体力とも相談だけど充実していれば人間やれるものだと思う。

僕は楽しかったのだ。

そうやって続けてきて出会った方々。

また、そこから派生して様々な仕事を依頼していただける様になったり…

表紙。(雑誌の表紙は花形。いつもヘアメイクとしての目標だった)

連載。

仕事の幅を広げてさせていただき、またジャンルの違う雑誌、テレビ、現在では書籍出版まで…

そういった事をされてもらえるまでなれたのも僕は全てこの「スタートライン」があったからだと思う。

僕の想いのスタートは「cancam、Anecan」

人生においてずっと変わらないし、近年でもこうやって呼んでもらえる事に喜びと、そしてまた当時の「想い」を思い出させてもらって…

【本誌反響】AneCan2月号を読んでの反応まとめ

http://anecan.tv/news/sp/anecan/post-443.html

僕はこれからも「cancam、Anecan」を応援しているし、こういったバックグラウンドを書いたりしているのも、そういった裏で働いている編集者の方々の想いなども知ってほしいと思って書いている。

これからも「夢」を与えたり、女性の人生を素敵に彩る存在でい続けて欲しい。

僕自身もこれからも頑張っていきます。

これから”ヘアメイク”をやりたい貴方へ

冒頭に戻るが、「ヘアメイクをやりたい!」と言って門戸を叩く人が多い。

そのほとんどはスタートラインで挫折する。

ただ、もっと「言ってみる」そして実際「やってみる」といいと思う。

みんな先輩方はそうしてきている。

「言う」手前で億劫、「言った後」行動しない。

そういった模様が見える事があり、簡単な話、編集部に電話かけて「作品みてください!」と言えば絶対見てくれるし、よければチャンスも与えてくれると思う。

なんでもなんだけど「やるかやらないか?」「続けるか?続けないか?」「発展するか?しないか?」

この三段階に分けられると思う。

第1をクリアしたら第2、第3までいけばある程度頑張れるラインにいけると思う。

僕はたまたま運がよかった部分もありますが、確実に「踏み越えてゆく」という作業もした。

そういった段階を踏み、是非「夢」を叶えて欲しい。

更に「ビューティ」の幅が広がります様に。

Category : コラム