Naoto Kimura

2015.5.3

「髪の毛傷んでますね」という発言は適切か?

僕、自分の顧客に対して積極的にパーマをオススメしない。それでいてトリートメント比率50%超。カットベースもシンプル。という所からか、あまり「ダメージが目立つなぁ」と感じた事はなく、基本的に素直にお客様髪質を誉める事が多いんですよ。

てゆーのは、基本的に「お世辞」というものが苦手で、思ってないと言えないタチですし、「傷んでんなー」と思うと言葉を押し殺し、黙って次回以降の施術でどうにかしようと考えているんですよね。

長きに渡りそういった「目に見えてダメージが出そう」な行程を回避し、作り込んできたお客様に対して述べる事は…

「いやー。ホント髪綺麗っすねー」

「カットしやすいです。」

「髪質めちゃいいです。」

と、いう無意識からの文言になるのですが、先日お客様に指摘されて始めて気付いたんですよね。

「木村さんにそういってもらえるから嬉しい」

と…

「美容室に通っててそういう風に言われた事はあまりない。だからこそ通っている。」

と…

「そうなのか…」

始めて思った瞬間だったんですよね。

全くの無自覚でそれを述べていて、基本的に美容というものは…

「ネガティヴワードを解決するものだ。」

と思っていた部分もあって、割と現在のスタンスでは「気楽に美容をやっている。自分らしい美容を。」という風に思っていて、その中からお客様にもやりたくない事はやらない。みたいな傲慢スタイルではありながらもその中で自分の思う”最上級の美しさ”というものを提案してきました。

そういった中で提供してきたものの仕上がりはこれまた自分的には満足で…

「髪質いいっすねー」

と心からの言葉が出るものであり、そこに何の裏もない素直な気持ちが表現されています。

「木村さんにそういってもらえるから嬉しい」

と述べていたお客様は…

「傷んでますね」

という言葉を投げかけられる事が多かったらしい。

美容の業を行う中で当然、「傷む」という技術もあり、僕自身がそれを全く行っていないか?と言われたら全然否定できない。

ですがもし「傷んでます」という発言をお客様に言ってしまったら…

「それを作ったのは紛れもなく”僕”」

という逃れられない事実がそこにある。

そこで「傷んでますね」と言って何かをプラスする必要性は全くなく…

「そこを作ったのは”僕だ”という痛烈な自覚をしながらきっちり改善に向かわせる事が使命」

であり、特にお客様にそのネガティヴワードを乗せる必要はないだろうと思っています。

かつてから「傷んでますね」的接客ワードは確実に存在していて、そこに対して「施術を乗せる」という事をしてきた部分は否めず、そういった事を解放した領域の中では全く出てこないこのワード。

基本的には「その状態を作ってきたのは自分達である」という事。

普通にその発言が出た時に自らが敗北した瞬間である様な気がして…

「傷みを伴う技術」は確実にある。

そのお客様が望むものはまさにそれかもしれない。

それでいて、もしや「在宅メンテナンスに問題」があるかもしれない。

けれども僕は言いたくない。

自分に対してもお客様に対しても全くいいキーワードだと思ってないから。

常に…

「いやー、完璧っすねー。髪綺麗っすねー。」

「髪質いいですねー。」

と、無自覚に言える仕事をしていきたい。

そんな風に思ったエピソード。

また粛々と励んでいきたいと思います。

Category : コラム