Naoto Kimura

2014.10.20

撮影してて専属アシスタントに教えた2つのこと。

今日はある雑誌の撮影をしていました。

僕には2人、専属アシスタントという立ち位置で預からせてもらってる人がいて、勉強してもらっているわけなんですが、今日気になったアクションが何点かあり、こういった事を書くのは本人達的には傷つくかもしれませんが、私自身の教育の不徳感もあり、こういうのを読んだ下の子とかの意識も少し変わったりするのであれば書いた価値あるかな?なーんて思うので書き記しておこうと思う。

1.*撮影している時に被写体しか見ていない?!

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アシスタントの視線の先というものを追っていくと…

「大体被写体しか見ていません」

もしくは、撮影途中で中に入った時に気付いてスタイリング剤を渡したりアシスト業務をするのですが、これまた的はずれの事も多いのです。

いや、てか…

「撮影してたらその仕上がりのビジョンを見てないとわかるわけねーだろ。」

とか思ってしまいます。

もちろん被写体の方も気にするのが当たり前です。

ですが…

「どういう風に写っているのか?!」

を目に刻み込まないと…

「自分がいざ作る時にイメージできるか?」

て思いませんか?

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君たちはいつか自分達でイメージ作りをするのです。

撮影において大事なのは「仕上がり」です。

仕上がり写真を見て何か思ったり、考えたりする作業をしていないと上達するわけはありません。

これは写真だけでなく動画などでも同じです。

その現場でアシスタントにゴニョゴニョと耳うちしたのは…

「おい。PCの仕上がりみて色々思うんだよ。別に木村下手だなこいつ。でもいい。そして自分ならこう作るな。とか色んな事を考えるんだ。いいな。そうしないとイメージとかできるわけないわけよ。そしてとにかく沢山の写真を見ろ。その写真の質を頭に叩きこめ!その写真の仕上がりでボリュームや質感をコントロールしてるんだ。そのイメージが描けたら渡すスタイリング剤とかも適切になってくる。いつも頭の中でその写真を評価するんだ。」

と…

ま、自分の経験談なんすけどね。
僕はずっと仕上がり写真というものを頭に叩きこんでいました。

むしろ今では「写真の光のイメージがないとヘアもメイクも作れない」くらいです。

アシストについていて的外れなアイテムを出してきたりするのにはそういう理由もあると思っています。

「仕上がりのイメージ」

がないのです。

下手なのは承知の上なわけですが、その仕上がりのイメージを描けていないと絶対上達なんてしないと思っています。

常に「仕上がりのイメージ」を頭の中で描き続けましょう。

2.*初めての媒体で予習をするのは当たり前だ!

今日、本当は最後まで撮影に立ち会う事が出来なくて…(スケジュール的にそういう事もある。今日は間に合ったが…)

僕が現場を出た後は専属アシスタントがカメラ前に立ちヘアメイクを調整しなければいけません。

僕「もうちょいしたら出るから後の2カット頼むよ」

アシスタント「僕はどうしたらいいんですか?どう仕上げたらいいんですか?この雑誌は…」

僕「…………は?」

なんとこの様な会話が行われてしまいました。そん時の僕の表情はご想像にお任せします。

僕は…

「今更何言い出してるの?」

と…

その雑誌はカジュアル路線でポピュラーな雑誌です。

当然あるべき「イメージ」というものがあるはずです。

イメージがあればその様な発言になることはないだろうと思っていただけに驚いたわけです。

「え?もしや読んだ事ないとか…?」

聞いてはいませんがそんな事を思ったのでその場においてあった本誌を…

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渡して読ませました。

て、いうか違和感感じませんか?

僕はヘアメイクとしてはありがたい事にほぼありとあらゆる出版社と媒体でヘアメイク、ヘアページ、メイクページなどの撮影をさせてもらってきました。

その一つ一つを行うに当たって「初めての媒体の時に予習をしておくのは当たり前」と思っていました。

幸いうちのお店には色んなジャンルの経験者が沢山おり、躊躇することなく内容やテイストなどを聞いたり…

あまり読んでなければバックナンバーまでも購入し、その雰囲気というものを頭に入れてから臨んできました。

それはその流れというものをそのままやろう。というわけではなく、オリジナリティは壊さない様に(当然僕らしいものを望まれてその現場にいるわけだから)んでも当然ですが…

「相手を知らないで仕事なんてできるか!!」

と思ってしまいます。

現場というものは全て流れがあり、僕のエゴだけで撮影が進むわけではありません。

僕が気にするのは…

「その媒体のイメージの枠は超えない領域でクリエイティブを作らねば」

ということです。

例え、アシスタントといえどもその媒体に関わるわけですから必要最低限の勉強をするクセはつけておくべきです。

ましてや、お後は単独で撮影を行う様、指示されてるわけですからむしろ予習せておき前日までに「どうしたらよいのか?」「どう作る?」「どういうイメージで」などの事に頭をフル回転させ臨まなければならない現場だったはずです。

これもすなわち…

「イメージが描けてない」

ということです。

「仕上がりイメージ」も「現場イメージ」も…

全てにおいて大事なのは…

「イメージです」

まずはそこを育てましょう。

その「イメージ」が描けてないとそこに至るプロセスなど描けるわけがありません。

ヘアメイクを目指したり、ヘアのページに掲載されたい。

なーんて思っている若者の皆さんへ。

そんな甘ったるい事でヘアメイクなんてなれないぜ!

と、厳しい言葉を投げておきましょう。

「いまドキだねぇ…!ゆとりだねぇ…!」

と言われるのも当然です。

時代遅れな発言という事は重々承知の上であえてエールとして申しておきましょう。

どんどん先読みし、イメージを描き、そこに向かってプロセスを組んでいく作業。

僕が今回専属アシスタントに教えた事。

これを書き記す事で何か伝わるものがあればよいのですが…

また撮影などでも思い立ったら書いてみたいと。

それでは。

Category : コラム